キリン福祉財団「令和3年度キリン・地域のちから応援事業」オンライン贈呈式に参加しました

皆様こんにちは。NPOリンクトゥミャンマー理事長の深山沙衣子です。

 

新型コロナウイルスのワクチン接種が始まっていますが、この記事をお読みいただいている皆様におかれましても、くれぐれもお体をご自愛下さい。

 

さて、当会では、外国人との共生を目指した多文化理解を広める意味で、在日ミャンマー人を対象とした映画の上映会を企画しました。当会の押田さんが、このアイデアを企画し、実現のためにキリン福祉財団の「令和3年度キリン・地域のちから応援事業」に申請し、同財団から助成をいただくことになりました。当会の映画祭は2021年8月~9月に開催予定です。ご期待ください。

 

皆様おなじみのキリンビール株式会社より設立されたキリン福祉財団とは、そのウェブサイトによりますと、

 

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「家族介護者」「障害当事者」など地域の中で福祉の谷間に 置かれがちな方々や、「ボランティア」として地域社会をささえる人々の活動を支援しています。

 

事業内容は、家族介護者支援事業、障害当事者への支援事業、支援先 と共催する青少年の健全育成事業、公募による地域福祉活動支援事業等、 いずれも財団が支援先や当事者と深くかかわる事業を行っています。

 

国際障害者年の1981年7月に、キリンビール株式会社創立75周年(1982年2月)を記念し、福祉目的専門の財団として設立されました。

福祉行政の手の届きにくい、いわゆる福祉の谷間への援助を行い、民間助成財団として わが国の地域における社会福祉の発展に寄与することを目的としています。

 

 

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すばらしいです。助成をいただくから褒めているわけではありません。

社会福祉には様々なステークホルダーや支援者がいて然るべきですし、

企業体が福祉事業にご支援いただくのは、福祉の世界と民間企業をつなぐ意味で

意義があると思うからです。

 

 

当会が助成を受ける

令和3年度キリン・地域のちから応援事業」について、同ウェブサイトから一部抜粋します。

 

~福祉向上で地域を元気にする活動を応援するプログラム~

 

助成対象となる事業

障害があってもなくても、高齢者でも子どもでも、日本人でも外国人でも、同じ地域やコミュニティで生活する一員として、共に理解し合い・支え合う共生社会の実現を願い、地域における障害児・者、高齢者、子ども等の福祉向上に関わる、幅広いボランティア活動を実施する団体に対して助成します。

 

キリン福祉財団ウェブサイトより)

 

 

日本社会は、日本人が取り組みたくない労働を外国人移民に担ってもらう社会になりつつあります。この社会の平和や多文化の人々との共生には、日本人の海外や異文化への理解と、外国人の日本理解を進める必要があります。

 

NPOリンクトゥミャンマーは、かかわっている外国人に、日本文化や日本での生活の仕方、商習慣など様々な知識をお届けしています。日本での円滑な外国人との共生に向けた取り組みを毎日続けています。

 

同時に、日本社会で外国人嫌悪や差別をなくしていくために、日本人でミャンマー人とのお付き合いに悩んでいる方々に、情報提供もしています。今回の映画祭のように楽しみながら移民について学ぶ機会は、自分で言うのもなんですが、いいんじゃないかなと思っています。

 

私が外国人について執筆するようになってから今まで、「難民や世界の貧困・圧政というモチーフをいかにエンターテインメントに落とし込み、社会に伝えていくか」という作業がテーマとしてあり、そのテーマを少し練り直して組織化したのがNPOリンクトゥミャンマーであるとも言えます。

 

霞が関や永田町で決めたことを発布するのが、手っ取り早く日本社会を変革する方法ですが、そこで機能しているのが本当の民主主義なのか何なのか、といろんな審議会や検討会を見てきて思うわけです。検討会委員の人選も、検討前の駆け引きも、議事録の一部発言を消したりも、大人の事情でいろいろ発生します。記者クラブ中心のメディア村が聞く質問も……、もう書くときりがないのでここまでにします。

 

政治や行政の力は、最大公約数の人々の幸福を目指した機能があるべきで、国家のような大きな組織体では、最大公約数の利益の実現とならざるを得ません。そこで、この国で少数派になっている人々が、いかに生きやすくなるかは、イチ市民が、草の根活動でやっていくということになります。

 

今回のキリン福祉財団のオンライン授賞式では、神奈川県で助成を受ける12団体の紹介がありました。難病患者・家族支援団体、聴覚障碍者支援、子ども食堂、高齢者支援、性暴力被害者支援団体、認知症患者がスポーツできるよう支援する団体と、まさに「公共の福祉の谷間」で支援が必要な方々へのサポートをしている方々の活動を聞き、感動しました。市民福祉のプロといった団体の皆様の話が聞けて、非常に学びが多くありました。

 

いわゆる「社会的弱者」とは、自分の責任ではなく、弱者の立場にいる人々のことではないか、と個人的には思います。子どもであることを自分で変えることは難しく、障碍者であることを自分で変えるのは難しいです。

 

自助・共助・公助という言葉のうち、自助も共助も期待できず、公助もほとんどない、もしくは公助があるか分からない状態にいる人が、存在していると感じます。もちろん、自助の少しはできて、共助がいくらかあって、と人によって状況は様々です。

 

何が言いたいかというと、「自助も共助も期待できず、公助もほとんどない、もしくは公助があるか分からない状態にいる人」に、自助を期待するのは無理があると思います。公助では足りない場合、いろんな方々が知恵を出し合って共助体制を作るのが有益だと、改めて思い至った次第です。

そういう共助体制の構築・実施をする団体であり続けたいと思います。

 

キリン福祉財団および同財団の審査員の皆様に、切に御礼申しげます。

 

 

最近、ある日本人から、こういう話を聞きました。

「在日ミャンマー人が軍政批判のためのデモをする。すると日本人がコロナ禍でデモに集まるのは何事かとアンチのコメントをインターネットで上げる。ミャンマー人への嫌悪感が日本社会で増えてくることに憂慮している」

 

 

在日ミャンマー人の立場は、軍政批判によってミャンマーメディアに取り上げられ、母国の活動家へのエールを送っている(+日本での難民申請時のビザ獲得を目指す場合もある)、です。

 

日本人にとっては、デモ活動においても、緊急事態宣言発令中である日本社会への配慮があるかという話になります。「今住んでいる社会への迷惑を考えられずに、母国の政体がどうなるかという責任なんか追えるんか。発展ってどういうことか分かるか? 個人の資質の発展から社会の発展につながるんや」と、息巻く日本人からの電話も受けます。おっしゃる通りでございます。

 

日本人とミャンマー人の間に横たわる、この問題を解決する案ですが、デモ許可時に警察が「ソーシャルディスタンスを守ったデモを」などのミャンマー語のお知らせをデモ主催者にお渡しするのは、いかがでしょうか。

 

だいたいデモ主催者で警察許可を取りに行く方は、在日経験が長いです。日本人の思いは伝わるはずです(当会が翻訳してもいいです)。だまされたと思ってやってみてください。徐々に効いてくるはずです。効果がない場合は、毎週毎週、デモ許可時にしつこく、さりげなく日本人の思いを伝えるのがいいです。ミャンマーの国軍の非常事態宣言は長くて2年半続きます。その間、毎週末、日本のどこかで反軍政デモはあります。ミャンマー人に日本人の文化や感情を伝えるのは、さりげなく、冷静に、しつこく続けるのがいいのです。私もそうしています。

 

 

このデモ問題は、「多文化共生」の実現の前に出てくる問題例の一例です。

 

もし日本にいて、ミャンマー関係のお悩みがある方、info@npoltm.orgもしくは045-567-5858へご連絡ください。治安維持の仕事をしている方々のみ突然訪問してきますが、平日10時から16時まで、面談予約もお受けできます。

 

 

上で取り上げたような課題の解になるか分かりませんが、映画祭が日本社会の多文化共生につながるといいと願っています。無難なまとめで記事を終えます。

 

(2021年5月12日 みやま さえこ)

 

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