2024年4月 外国人の入国後の支援とはこういうもの

よくNPOリンクトゥミャンマーで定住支援をやっているとウェブサイトに記載していますと、外国人支援って何やってるのって言われたりするんですど、ここ数日入国する4人の外国人のためにやった支援を列記します。


また、入国後の外国人支援は、外国人の社員を受け入れた際に、すべての会社さんや監理団体、登録支援機関やボランティアの方々、うちのような人材紹介会社や非営利組織がやってたりすることで、これは普通の業務じゃないかと思われる方々、あなたの仕事ぶりは素晴らしいです。なぜなら私、疲弊しているからです。



1.今回来日した 4人のうち、3人は関東圏に住みます。3人の住居を全部、一般的な賃貸物件で探すのは大変です。なぜなら、入国前の住民票がない人に賃貸物件を貸す人は非常に少ないからです。多くの会社さんが会社名義で借り上げ、それから家賃を外国人の給与から天引きして賃貸物件を整えることがあります。


また、身元保証人や緊急連絡先を一般の入国したての方々が探すのも大変です。


数年前に、私たちは外国人の賃貸物件を探すことの徒労がピークに達し、もはや自分で物件を所有し、貸し出した方が不動産仲介業者に手数料を取られることもなく、何度も物件情報を見て電話して断られると言う手間を省けるし、はるかに効率的ではないかと思うようになりました。


と言うわけで、自社物件で空いている部屋の掃除です。築古の戸建ての掃除は数日にわたって6人がかりで行いました。


ガス、電気、水道の開始も行います。ガスの立ち会いだとしばらく使っていなかった。築古戸建て物件ではガスパイプで全て漏れがないか確認するので時間がかかりました。これも勉強になりました。


ガス点検の際に、火災保険に入らなきゃと言うことに気づき、いつもお世話になっている元銀行マンで口が上手い保険屋に電話して、見積もりを依頼します。


2.カーテン、布団、石鹸、シャンプー、自転車、取り急ぎ1週間から2週間分の軽い食事、備え付けられるところは、冷蔵庫や洗濯機などの用意をします。


家具付き住宅に住むんじゃないんだからとお思いの方もいらっしゃると思いますが、皆さん出稼ぎに来るのです。入国後1ヵ月ぐらいは飢えないようにしておかなければなりません。よって私たちの事務所や私どもの自宅には中古の家財と食料支援用の食料で溢れかえっており、外国人が入国するたびに大掛かりな断捨離的家財、衣服、食料寄付が行われます。


一例ですが、私の母は、物を捨てないコンテストをしたら、おそらく日本代表になるほどのレベルでものを捨てない人で、彼女が取っておいた私の小学生の頃のスキーウェアを北海道に入社した方にプレゼントしました。北海道の寒さを全く知らない方だったので、役立ちました。



私が理事長を務めるNPOでは、食料支援の箱をinternの学生さんに、車や住居に少し運ばせたりしますが、すぐ汗をかいています。食料支援の積み込みをIntern勤務初日にやらしたら1日で職場から消えた方もいました。


外国人支援は肉体労働も伴います。頭脳労働だけで外国人差別をなくしたいなどと言うのはキレイ事でございます。



特に二台の折りたたみ自転車の組み立ては、こちらもNPOのスタッフ2名にやってもらいましたが、自転車組み立ては素人がやってもあの部品を取り付け間違えた、ここが曲がって取り付けてあるなどいろいろ不具合があって、結局自転車屋に持っていって最終調整をしました。二台分それぞれ駅前まで乗って行って自転車屋に直してもらい、その自転車で家まで戻り、またもう1台乗って自転車屋に行きなどと、どう考えても非効率なやり方ですが、他の方々は掃除や草むしり、粗大ゴミ捨てなどで頑張っておりますので、やるしかありません。少しですが、私の子供3人も参戦して掃除をします。


3.外国人が申し込める携帯電話SIMカードの取り寄せをしておきます。これも一言で携帯電話、SIMカードと言いますが、本人に認証してもらうためにメールを送ったら、いちいちSNSツールでやりとりし、あまり日本語のできない方々と一緒に契約作業を行うのですから半日ぐらいかかってしまいます。



4.入国時に空港に迎えに行きます。いつも電車で行ってる私たちですが、今回は限界を感じ、在日ミャンマー人でお世話になってる方経由でレンタカーを借りました。


なぜなら、空港に行く途中で、今回来日する方のお父様を拾い、空港で来日する4人を迎えるのですが、そのうちの1人の在日家族3人とまた合流し、その在日家族が来日する方に枕を手渡す(ウチに枕の用意がなかった)ためのアシストをし、その後スーツケース込みで7人が移動し、それぞれ宿泊場所が3つになると言う状況で、電車移動は限界だと言うわけです。


多くの監理団体さんや企業さんは車で空港に迎えにきます。日本語学校の場合は、マイクロバスをチャーターしてくる場合もあります。皆様大変お疲れ様です。私たちは自分で運転する元気もありませんので、今回はドライバーさんを雇っております。


5.彼らの住居や寝る場所に着いたら12時半を超えておりました。朝0時半でございます。そこで私は子供が寝静まった家から出て事務所に行き、事務所で一夜を過ごす方に、お湯の出し方やら何やらをお教えします。車で別の住居に向かう方々の食料支援の段ボール箱の積み込みもいたします。夜中に運ぶ米は重い。


こんなんスタッフにやらしたらといっても、深夜手当が馬鹿になりませんし、積極的にやりたいなんて言う表情の日本人に最近とんとお目にかかっておりません。


6.翌朝7時半、今度は当社のスタッフが留学生の住居に行き、彼らの学校に連れて行きます。前日夜に空港に到着したため、学校への行き方がわかりません。また電車といってもほとんど使用されていない非常にのろい電車が走っている国から来たのですから、乗り換えを自分で行うのは至難の業。


ここで問題なのは、2人の学生を日本語学校に連れて行くのですが、それぞれ学校が違うのです。おんなじ学校に入学させれば良いと言いますが、それはあなた入管のビザ申請後の許可に関する非情さを全く知らないということです。同じ学校に申請して皆ビザが出ないペケだったらどうしようもありません。リスクヘッジのため、複数の学校に申請をしているのです。


そこで最寄り駅まで自転車で行き、自転車の一時停止のエリアに止めさせるよう私は自社のミャンマー人、スタッフに前日に教え込んだのですが、結局定期利用のエリアに止めたので、その日の夕方、自転車が移動されてないから、確かめに行く羽目になりました。


まぁとにかく自転車を止めて電車に乗りまして、ターミナル駅で乗り換えです。そのターミナル駅で1人、今回来日したての方と同じ日本語学校に通っているミャンマー人が待っています。1人はその1年位前に来日したミャンマー人留学生と合流させ、また1個先のターミナル駅で地下鉄に乗り換えさせ、学校に連れて行きました。


もう1人も特急電車から普通電車に乗り換えさせ、通う予定の日本語学校に連れて行き、彼はそこで入学式と入学後の学力チェックです。


帰りの電車乗り換えも鬼門です。

横浜南部から横須賀に通っている赤い電車は、特急、快特、急行、普通と電車があり、またあるエリアでは支線が走っており、それを見極めて乗り換えをして帰ってくるのが、日本に来たばかりの留学生には極めて困難です。


1人は同じ日本語学校に通う先輩がいたので、その先輩に連れてきて帰っていきました。もう1人は乗り換えの駅を間違え、その後また電車に乗り、そうしたら目的地を通り過ぎ、引き返してきて目的地に着いたと思ったら、目的地のターミナル駅で迷い、と言うことになりましたので、結局時間で雇っている日本人スタッフが彼らの支援のために待っていられるかと言う問題になります。残業代支出はバカになりません。


その後駅で、自転車が確かに残っていることを確認し、自転車置き場の1日利用券の買い方を教え、最寄りの駅の近くにあるスーパーに案内し、家につれていき、食事をちゃんととっているか確認して帰ります。



7.留学生2人が、学校に行ってる間に、就労ビザで来た方と名古屋で留学する方向けにSIMカードの設定をします。来日前から申し込める外国人向けのSIMカードは、大手キャリアのように親切ではなく、自力でモバイル設定をしなければなりません。


就労ビザで来た方には、その後市役所に連れてって住民登録をし、中古製品ショップに連れて行き、家財道具を整えてもらい、周囲の買い物の仕方をお教えします。


名古屋に行く予定の方は、数日間知り合いの家に泊まるのですが、暑すぎる国から来たため、熱が出て、移動予定日に名古屋に行けるかとまた再検討することになり、結局新幹線チケットは買わずにおきます。



8.来日2日目、就労ビザで来た方と一緒に入社のご挨拶に伺います。そこの会社さんでは、当社社長が通訳に入って入国後研修をしたりしてますので、入国後研修受けた方の今を聞いたり、今後どのような支援ができるか話し合ったり、入社した方がどのように銀行口座を作るかなどの相談をします。


9.毎日2日目の夕方、全員を車に乗せ、ハードオフ、家電店巡りです。アイロンが欲しいとか、いろいろなオーダーがございますので、それに対応します。帰りがけに我が家により、1人、SIMカードのセッティングができてなかった方の設定をして、また米をあげ、彼らの家まで車で送ります。


ハードオフやヤマダ電機でなかったものは、楽天市場で買い、郵送手配しました。



ハードオフ巡りの前に、留学生2人の住民票作成を行いました。区役所の人が、家はどの辺にあるのか、地図で明示してほしいなどと言い、来日2日目で土地勘などわかるわけないだろうという話ですが、あと留学生も年金加入が必須になったと散々言ってきまして、これは後ほど学生なので支払い免除申請をするから全く構いませんが、毎月の年金支払い額の大きいうちの通訳は、留学生に年金払えるわけないだろとびびってしまい、私に電話してきたので、免除申請するからと電話越しに説明します。年金は、学生が終わった後に社会人になってから払えば良いのです。年金を払わない外国人がいるのは承知していますが、来たばかりで学生から何でも取り上げすぎると、日本への愛情の積み増しに影響してきます。留学が終わったら、速やかに社会保険料に関しては自動引き落とし等ができるような制度になれば良いかもしれませんね。



10. 話は前後しますが、就労ビザの方の住居が駅から少し遠いので、電動自転車を貸与しようと思い、電動自転車をメルカリで買いました。2時半から3時半に来ると言っていたので、2時半に配送現場に着きましたら、1時間も配送は来ず、どうなっているのかと思ったら10分前に来たから配送しておきましたとの事。


集合住宅で自転車がたくさん置ける場所に置かれているから、どれが配送品かわからない、配送したら電話連絡するなり早く来たなら電話連絡するなりしてほしいとメルカリ上のチャットで言いましたら、そんなクレームつけるなら返品しろと売り主側が言ってきまして、売主の店に電話しましたら、おそらく中国人が電話に出て、商品に問題ないなら、またよろしくお願いしますなどと言ってくる。こちらが強く出ないと、いつまでも難癖つけてくるのであります。



メルカリ上では出品者に評価をつけてください、などとお知らせが来るものですから、事務局にこんな対応だったぞと評価をすると、事務局からも注意はしますが、基本は出品者と買取者とのあいだで協議してほしいとの事でした。もう協議もしたくないんですが、世の中の多様化、多国籍化とは、かようのこともあるのでございます。


小さな事ですが、メルカリ上であっても、メルカリから出品者に注意が入るということをしないと、日本は、自分の出身国のルールでちょろく自営業が展開できるぞと勘違いされますので、このやり方はおかしいと思ったらおかしいと言っておく必要があるかと勝手に感じておりました。


メルカリで買わなければいいじゃないと言っても、来日したての方向けに、貸与とは言えど、あまり費用をかけることはできません。ご本人負担にすればご本人に負担がかかります。自分たちの所有のものであっても、費用をかけすぎると、経営コストとして、のしかかって参ります。



まぁ、そんなこんなで他にもいろいろありましたが、準備をしながらいろいろ勉強することもできましたし、疲弊しましたが、娘12歳の成長も垣間見られたのでよかったです。


私「ミャンマーから来たばっかりの人たちに毛布をどのぐらい準備したほうがいいかな?」


娘「たくさん準備したほうがいいんじゃない?ミャンマー人にとって日本は冷蔵庫、日本人にとってミャンマーは(洗濯)乾燥機だからね」


😚😚😚😚😚😚😜😜😜


私「来たばかりのミャンマー人は電車の乗り換えが大変でさぁ」


娘「だってさぁ、日本の電車って、ミャンマーと違って時間通りに来ちゃうからね」(←乗り換えを調べたり、考えたりする時間がないと言う意味)


私「ミャンマーの電車乗ったの覚えてんの?」


娘「覚えてるよ」


娘がミャンマーの電車に乗ったのは、おそらく8年ほど前です。無理していろいろなところへ連れて行ったことで、自分の半分のルーツの国の方々の境遇が想像できることができて非常に良かったと思っております。



最後になりますが、NPOリンクトゥミャンマーと日本ミャンマー支援機構のスタッフ、インターン総勢10数名で、これらのことを行いました。もっと働いて欲しいと思いますが、やりがいとブラックの境目は人によって違います。後は私どもがもっと稼いで、深夜手当を出せるようになれば、自分の肉体を使わなくても解決する問題です。


間違っても外国人支援は、机の上だけで解決するものではないことを多くの方々に知ってほしいので、この記事を書いています。


また当法人と当社にいつもご支援いただいたりご愛顧いただいている皆様のおかげで支援ができております。どうもありがとうございます。


2024年4月18日

みやまさえこ